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19世紀のファッション・リーダー ボー・ブランメル

「伊達者(だてもの)」と呼ばれ、往時のファッションの流行を、たったひとりで方向付けた男がいた。

王侯や貴族さえ、その着こなしに倣い、名高い文人たちも支持してやまなかった彼こそ、元祖ファッション・リーダーとも言うべき、ジョージ・ブランメルその人だ。

19世紀前半、英国で一世を風靡したジョージ・ブランメルは、早くからファッションに目覚め、6歳の時には、母親のいちばん美しいスカートを裁断、自分の上着を作ろうとさえ試みたという程だった。

大学時代にも、服装が乱れるのを恐れる余り、スポーツには一切無縁という徹底ぶり。

一生を通じ、完璧な着こなしだけを何より優先させたのだ。

この若きダンディに注目したのが、後の国王ジョージ4世。

若き皇太子もまた、ファッションには余念がなかった。

近衛騎兵隊に任じられたブランメルは、殿下の導きで社交界へ。

ブランメルのファッションは、こんな感じだ。

地味な色調の上着は、やや長目に裾が垂れている。

英国では主に、前丈が短く、後ろ丈が長く、一方、フランス式では後ろ丈が短く、スリットが入った。

インナーは、ボタンが数多く付いたベスト。

ベストだけは、遊んでも良かった。

例えば、青のジャケットにはシープ・スキンのベストを組みあわせたが、次第に寒色へと、好みは移った。

下は、なるべくなら、スエードの半ズボンに短いブーツ。

さもなくば、踝(くるぶし)をボタンで留めるタイプの長いトラウザース。

ブランメルが、白ネクタイと、白の折返し付ショート・ブーツを揃えた時には、センセーションを巻き起こしたと伝えられる。

いずれにしろ、ぴっちりした、タイトでスリムなシルエットが肝腎。

映画「眺めのいい部屋」 A Room with a View 1986 で、長身のダイエル・デイ・ルイスが披露した、すっきりした着こなしを思い起こされたい。

裕福になった市民が中産階級として台頭、消費活動もより盛んになった。

新聞や雑誌も興隆も相俟ち、プロフェッショナルの文筆業者がようやく誕生したこの時代、例えば、ファッション・ジャーナリズムの魁とも言える、ボードレールのエッセイが、この流行をリードしたとも考えられよう。最近のメンズファッション40代コーディネートはそれにしても素晴らしいと思うこの頃。

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